傀儡・・・人がその手で、自らの代わりとして作り出した人の姿をした
人ならざるもの。

 彼女らは時に道具として虐げられ、時に人間以上に愛され、時にその
美しさ
ゆえに国を動かし戦を呼んだ。
 彼女らは常に動乱の渦中にありながら、決して歴史の表舞台に出ること
はなかった。


 霧子・・・明鶴院家が生み出した人を作り出すための魂の器。
初號、弐號はその役目を終え、惨號はそれを譲ることなく一人の陰陽師ととも
に消えた。
そして、残された十の器は本来の目的を失いながらも、傀儡の運命
にひかれ、動乱へと身をうずめていく。


 自分と同じ、恨みの中に生きる男に導かれ、惹かれ、添い遂げた死號霧子。
 弱きもの達のため全てを捨てた女に仕え、影として生きた護號霧子。
 そして今、番目の霧子が運命に導かれようとしていた。

 ―――黒羽戮號霧子、死を告げる赤き羽を持つ蝶
「私は・・・私は誰の代わりにもならない!」
「すでに準備は整った。いくぞ、霧子。」
「かわいそうな子。私のせいで・・・ごめんなさい。」
「御意にございます、藤麿様。」
いくつもの想いが交錯しながらも、惨酷なまでに道は交わる術を持たない。
次回 天羅万象・零「霧の彼方の・・・」
そして彼女は、生きる意味をみつけだす。






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